2011/11/30

どろ亀さん



どろ亀さん、最後のはなし―夢はぐくむ富良野の森づくり
高橋 延清
4783502307

どろ亀さんを知ったのは何年前だろうか?
そのときは森林の世界に自分が身を置くことなど考えてもいなかったし、北海道に住むことになるとも思っていなかった。でも、ブラウン管に映るその不思議なおじいさんのことは強く頭に残っていた。

林分施業法といった天然林施業の詳細を自分はまだ学んではいない。
その概要は私の知る限り新しい技術でもなんでもない。
だけど、それを実行することは非常に難しい。
東大演習林のような広大な森林ではなおさら難しい。

大切なのは林分施業法という理論を理解することではなくどろ亀さんの言う学び方を実践することだろう。

森を歩き、森を見て、気づき、考える。書物や理論はその後だ。


どろ亀さんも仕事はちゃんとしていたことだろうけど、いつも酒飲んでて論文も書かずに東大の教授を全うしたのだからそれを受け入れる時代の懐の深さに感動する。

そうした懐の深さが天才や世紀の発明、発見を産むんだろうな。

いまの時代は難しいのかもしれないな。


2011/11/28

ヒグマ学入門



ヒグマ学入門―自然史・文化・現代社会ヒグマ学入門―自然史・文化・現代社会
天野 哲也 間野 勉 増田 隆一

北海道大学出版会 2006-10

今まで読んだヒグマ関係の本のなかでは一番客観的で学術的であり、参考になった。
生態、民俗・文化、社会学など総合的にヒグマをとらえており入門書としては最良。

ただ、執筆者のひとりの登別クマ牧場の人はやはり個人的な思いが強すぎてバランス感を著しく欠如させている。
ヒグマに関する本にはこの人はよく執筆しているようだけど学術書には不適だ。
個人的にも苦手なタイプ。


で、今回の本で学んだこと。

P8. 縄張りは見られない
・・・さら~っと書かれていたけどヒグマは縄張りを持たないの?だとしたら俺のヒグマの行動に関しての認識はだいぶ変わってくる。


サケについて

・・・サケは自分が産まれた湧水の匂いを頼りに川に帰る。つまり、湧き水のあるところに産卵する。よって、今年忠別川に帰ってきたサケは産卵できない。

・・・今後サケ科魚類の遡上量が増加し、ヒグマがそれを求めて河川を利用するようになれば、人との軋轢が増加し、クマの死亡数が増加するという結果にもなりかねない。

・・・夏の時期は森も食べものが減るのでアリなどの昆虫を食べるが行動圏に高山があれば高山植物を食べる。(ベリー類もそうだが高山では夏でもまだ草が青いから草を主に食べる)

・・・高標高域の高山植物や、河川を遡上するサケ科魚類も利用できない地域のヒグマにとって、晩夏に利用可能な採食資源となっているのが、農作物なのではないか。

・・・ヒグマが利用しているエゾシカが駆除や狩猟の残滓である場合、駆除残滓は農地付近に多く、狩猟残滓は林内でも道路や河川沿いに多い傾向にある。これらを利用した結果、人間との出会い頻度が増加することで駆除による死亡率が増加する可能性がある。

・・・やっぱりダムだ。たとえダムに魚道をつくったとしてもダムがあることにより水の流れが変わりサケの産卵に適した場所が失われているためサケが自然に戻ってくることはありえない。


川について

・・・長良川という川がいかに素晴らしい川なのかを北海道に来てあらためて感じている。
原始のままの川は北海道にはどこかにあるのかもしれないけど、それにはさほど魅力は感じない。
(もちろん行ってみたいし遊んでみたい。でも、その川の近くに住みたいとは思わない)

川と山と人と野生動物がゆるやかに密接につながっている空間に自分は魅力を感じる。


この冬の仕事

この冬はひとり親方として利用間伐を請け負うつもりで準備をしていた。
独立して仕事を請け負うなんて数年後の話だと考えていた。
だけど頼りにしてる人も乗り気になってくれ、パートナーも見つかって話はとんとん拍子で進んでいった。


はたして林業1年生の俺にできるのか?


そんな不安はもちろんあったけど普通の会社が1ヶ月でこなす仕事を半年かけてやればいい。

そんな風に考えて準備をすすめてきた。

もちろん収入はその分減るけど今年の冬は生きていけりゃいいやと覚悟を決めていた。



でも、実際には仕事を取るにもどれだけの事業量を確保すればよいのかわからない。

道具や機械も完全に不足してる。

労災や税金などの制度についても情報不足。

やっぱ厳しいな~


でも山の仕事以外をする気ははなかった。

お金のために働くことは当然のことだし、やりたくない仕事でも精一杯やってれば何かの役には立つはずだ。

だけど、そのせいで山仕事の機会を失うのは避けたかった。

だから、山仕事以外の仕事はお金がそこをつくときまでは探さないでいようと決めていた。


そんなとき人づてで山の調査の仕事が舞い込んできた。

スキーをはいて山を歩き、森林の調査をおこなう仕事。

森林調査は大好き。スキーも大好き。

それでお金までもらえちゃうなんて最高。

時間にもゆとりがあるから来年以降の山仕事の準備もできる。スキーもできる。


このバイト。
けっこう倍率は高かったようだけど学校で森林調査を専門で学んでいる人なんて滅多にいないからね。

2年間という時間と全財産を投資した岐阜時代。

それだけの価値があったかどうかを判断するのはもうしばらく後だと思ってるけど今のところ効果絶大だ。

投資した以上のものを得ないともったいない。


部屋の改造その3

なんとか完成しました。

「あ~、これでやることなくなっちゃうな~」なんて思っていたら次の仕事が決まった。

グッドタイミングです。

さて、仕事の準備しよっと。


手をつけられていなかった上段部分。
ここにはダケカンバの原木を使用した棚を作った。
チェーンソーで刻みを入れるだけでクギも接着剤も使用していない。
地震とか怖いな~と思っていたけど丸太に重量があるし、倒れても死ぬようなものは置かないので問題なし。
丸太が乾燥したときどうなるのだろうか?


できた棚にはケニアの小物やお気に入りの本などを並べる。
思ったよりもいい感じ。

下段には本棚ふとんを収納するスペースを用意。上段に登るハシゴもダケカンバで。


こあがり部分は冬はベッド。通年でゆんたくスペース。
材は2×4と松の野地板。予想通り反りがひどいのでやむなくクギ打ちした。
塗装はオイルステン。
構造的に欠陥があり、強度に不安あり。。

全体のイメージはこんな感じ。
細部は素人仕事丸出しだけど雰囲気は出てるかな。


あ~酒が美味し。

さて、冬に突入だ~~!!



広葉樹とDie back



イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか―樹木の個性と生き残り戦略
渡辺 一夫
4806713937


森林インストラクターの著書。
森林のことを何も知らない人が読んでもおもしろいだろうけど、それなりに知っている人が読んでもおもしろい。

このひとは実によく知っているのだな~と感心した。勉強になった。

タイトルにもなっているイタヤカエデについては die back のことなのだが、ここのことをきちんと理解しておかないと森づくりはできないと考えている。

「広葉樹の豊かな森にしたい。だから、広葉樹は全部残して!」という森づくりのニーズがある。

でも、「広葉樹ならなんでもいいの?」という疑問もあるし、広葉樹の稚樹や幼樹は伐ったってすぐまた生えるのだから広葉樹をわざわざ残すという手間をかける必要はないのではないか?

そのあたりを知識としてきちんと身につけたい。
(樹種による違いやその生長の速さなど)

そして、それを経験として身につけたい。

学ぶことは山ほどあります。


2011/11/25

部屋の改造その2

仕事も終わったのでなかなか進んでいなかった部屋の改造をじっくりと行う。
電動工具は今まで会社のを借りていたのでここからは手工具で。。

時間はかかるけど手工具を使うといろいろと勉強になります。

「木ってこうなのね~」

「ここがずれるとこうなるのね~」

手を抜くとそのままかたちとなってあらわれる。

学ばされてます。

とりあえず“こあがり”の部分は完成。あとは上の部分だ。


今まで寝室兼物置にしていた部屋はすっきり片付いたので、これから作業部屋兼トレーニングルームに仕立てていく予定。



2011/11/21

無職?Freelancer?

今年の造林仕事が終了した。

予定より少し早め。

これでまた来春まで無職になったわけだ。

というより念願のフリーランサーになったということだ。

ここからは自分で自分の道を切り拓く時間。そのために今の会社を選んだのだから。

でも、まぁ焦らずにやれることを精一杯やるだけ。

それしかできない。

すべてがうまくいくなんて思っていない。

なるようにしかならない。

その覚悟はとっくに決めている。

どん底になったって自分は楽しんでいくよ。

フォールラインはひとつだけだ。

焦ったってしかたがない。

とにかく、手に入った仕事を精一杯こなして空いた時間は精一杯遊ぼう!

今期の収穫。冬の遊びがまたひとつ増えた~。

2011/11/10

手遅れな保育伐



保育伐の仕事が続く。

およそ40年生のトドマツの林は一度も徐伐されずにいた。


保育伐は本数調整伐とは異なり劣勢木や枯損木だけを伐り倒す。

当然のことながら枯れた樹や劣勢木だけを伐っても残った樹は新たに樹冠を広げることはできない。
だから作業が終わったあとも林内は明るくならない。

40年生での保育伐は完全に手遅れなのだ。

本来なら一気に本数調整伐あるいは間伐までやってもいいのだろうが一気に本数を減らすのもまた残された木への影響が大きすぎる。

う~ん。


間伐後の光が差し込む瞬間が好きだ。

風が吹き抜ける瞬間が好きだ。

残された木や下層植生がよろこんでいるような感覚が好きだ。


今回の現場ではあまり施業の効果を実感できず悩ましい。
とにかくチェーンソーに慣れること。技術を磨くことに専念しよう。




2011/11/09

木の美と芸術


チェーンソー作業がつづき疲労は自分が思っていた以上にたまっていたようだ。

熱が出てダウン。

寝りゃ治ると思っていたけ結局この熱は4日間つづいた。

そして5日ぶりに元気よくみんなで山へ!

一服休憩中に同僚の一人が「これ、あげるよ」とくれたのがこれ。



感動した。

二股になったトドマツの枝と先端をちょん切っただけのただの丸太なのだが
その自然の造形美に打ちのめされた。

何となくアフリカを感じる原始的な芸術性をこの丸太から強烈に感じる。

自分の中で新しい何かが弾けた感じだ。

これはひょっとしてひょっとするかもしれない。



2011/11/08

サケと川と森とクマ

数日前にクマにサケを食べさせたいと書いたのだがちょうどいいタイミングでこんなニュースが。


水しぶき上げて産卵 放流のサケ、石狩川に戻る
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111102/trd11110219320023-n1.htm



お~。

あれ?これうちの近くじゃないの?ってことで目の前の川に行って様子を見に行ったら

いるわ~、いるわ~

白く見えるのがサケ。シロザケ。























でも、こんな街の中じゃクマはサケ食べれないよ!

街から人間がいなくなるか、サケが山の方まで行かないとダメだ。


ところでサケってもともと山のほうまでいくものなのか?
(イメージとしては平原を流れる川にいる感じ。だとしたら人間がいなくならないとクマはサケを食べれない。。。)

たとえ山の中まで行く性質があったとしても、この地点から山まではいくつもの水門、巨大なダム、山の奥まで入り込んでる堰堤の数々がサケたちの行く手を阻んでいる。




放流された場所へ3年かけて戻ってきたサケ。
だけどそこは河床もご河岸もコンクリだらけのドブ臭い川だ。
産卵してそれが孵化して再び海を目指せる環境にあるのだろうか?

もし、ないのだとしたら・・・

稚魚を放流した人たちはサケが戻ってきた後のことを考えていたのだろうか?

産卵場所の整備もせずに放流したのか?

サケが3年のあいだどんな思いですごしてきたか考えずにただ待ち続けていたのか?


なんだか怒りがこみ上げてきた。



でも、とにかく、サケが戻ってきたということは大きな出来事だ。
これが川を良くするためには何をしたらいいのかひとりひとりが考えるきっかけになればいい。

いつの日か大雪の山でサケを食べるクマの姿が見られるたらどれだけ素晴らしいことだろう。

2011/11/04

どこのケニアよ?




本数調整伐の現場は上川でアンガス牧場のもっと奥。

そこはもう日本じゃないみたい。


見渡す限りの草原に牛が草を食んでいる。
よく見るとシカも混じってる。

その後ろにはでっかい大雪山!

上川方面から見る大雪は愛別岳、黒岳といったとんがった山が多いので東川方面から見る大雪とはまったく違う雰囲気。

あ~、ここはどこ?

あの山はケニア山じゃないかしら?
むこうに見えるのはアバデアの山々?

なんて思ってたらこんな看板が!

ABERDE.... アバデア!?



「やっぱりここはケニアなのか!」


アバデアの滝から大雪山はやはり繋がっていたんだ!

自分は北海道に住むことになっていたんだな~ 自分のフォールラインが正しかったのだと感無量に・・・。


と思ったらよく見たら Aberdeen だった。

Aberdeen Angusという品種の肉牛を飼育している牧場でアンガス牧場なんだと。


とにかくあの景色は素晴らしい。

(まぁ、森を伐り払って平原にしたわけだけど。。)

疲れも何もかも吹っ飛ぶ。
北海道に来て良かったな~って思う。
雪が積もったらまたすごいんだろう。

冬は調査の仕事でスノーモービルとスキーでここに行く。
(俺が行けるかどうかはわからないけど。。)


愛別岳のあのとんがり方はバティアンピーク??バティアンにいつか登るのがおいらの夢。
ニセカウはアバデア山脈?ケニアの山をもう一度登りたい。

2011/11/03

ツルきり徐伐

Tree Climbing, Bear Style


当麻の保育伐の現場でのこと。

ここは人里にわりと近く、ヤマブドウやコクワのツルが繁茂している。
木材生産の世界ではツルは害だ。

作業が危険になるし、植栽木を変形させ、枯れさせて商品価値を損なうからだ。
だから林内のツルは片っ端から取り除くのも造林の仕事だ。

しかし、ツルも必死に生きているわけだしヤマブドウやコクワの実は野生動物にとって貴重な食料となっているわけだ。


今年はどんぐりだけでなくヤマブドウもコクワの実もほとんで見られない。

だからクマは高い山の方へ、あるいは里の方へ行ってしまったのではないか?

連日のように報道されるクマ出没のニュースのわりに奥山ではその気配すら感じない。

「今年はクマに会えないかな~」

とあきらめかけていた今日この頃。

現場の脇の林道でお昼休みをとっていると「クマだ!」の声。


クマはわれわれに気づくとさっさと逃げていった。
そのとき俺は疲れのあまりぐっすり眠っていて見逃した。。。


午後からその現場に入るとクマが木を登った跡がなまなましく残っていた。

ツルのからまったトドマツばかり登っている。
もちろんそのツルにも実はついていないのだが。。

ベテランが言う。

「クマは実のついていないツルには登らないんだけどなぁ。。きっと目の悪いクマなんだな!あっはっはっは~」

よっぽどお腹をすかせていたのだろうか。。

来年こそはこのツルにも実をつけるだろう。


協議の結果、どのみち売り物にはならない木にまきついたツルは残しておこうということになった。
(もちろん商品になりうるものについては容赦なく伐りますよ。こちらもプロですからね。)


クマ。。鮭食いたいべな~。
むかしは北海道中の川に鮭がいたんだから。。
もっと鮭がもどるようにしないと。




写真は共にイメージ図

2011/11/02

今日は何日?

自分の誕生日を忘れるなんてことありえないと思っていた。
でも、気がつくと今日33歳になったのでした。

正確に言うと誕生日を忘れていたのではなくて今日の日付を知らなかっただけ。

お祝いのメッセージを頂いて気づいた。

みんなありがとう!


今日は仕事が早く終わったので山からカバの木をもらってきた。
はからずとも誕生日プレゼントとなった。

ありがとう、森。