今まで読んだヒグマ関係の本のなかでは一番客観的で学術的であり、参考になった。
生態、民俗・文化、社会学など総合的にヒグマをとらえており入門書としては最良。
ただ、執筆者のひとりの登別クマ牧場の人はやはり個人的な思いが強すぎてバランス感を著しく欠如させている。
ヒグマに関する本にはこの人はよく執筆しているようだけど学術書には不適だ。
個人的にも苦手なタイプ。
で、今回の本で学んだこと。
P8. 縄張りは見られない
・・・さら~っと書かれていたけどヒグマは縄張りを持たないの?だとしたら俺のヒグマの行動に関しての認識はだいぶ変わってくる。
サケについて
・・・サケは自分が産まれた湧水の匂いを頼りに川に帰る。つまり、湧き水のあるところに産卵する。よって、今年忠別川に帰ってきたサケは産卵できない。
・・・今後サケ科魚類の遡上量が増加し、ヒグマがそれを求めて河川を利用するようになれば、人との軋轢が増加し、クマの死亡数が増加するという結果にもなりかねない。
・・・夏の時期は森も食べものが減るのでアリなどの昆虫を食べるが行動圏に高山があれば高山植物を食べる。(ベリー類もそうだが高山では夏でもまだ草が青いから草を主に食べる)
・・・高標高域の高山植物や、河川を遡上するサケ科魚類も利用できない地域のヒグマにとって、晩夏に利用可能な採食資源となっているのが、農作物なのではないか。
・・・ヒグマが利用しているエゾシカが駆除や狩猟の残滓である場合、駆除残滓は農地付近に多く、狩猟残滓は林内でも道路や河川沿いに多い傾向にある。これらを利用した結果、人間との出会い頻度が増加することで駆除による死亡率が増加する可能性がある。
・・・やっぱりダムだ。たとえダムに魚道をつくったとしてもダムがあることにより水の流れが変わりサケの産卵に適した場所が失われているためサケが自然に戻ってくることはありえない。
川について
・・・長良川という川がいかに素晴らしい川なのかを北海道に来てあらためて感じている。
原始のままの川は北海道にはどこかにあるのかもしれないけど、それにはさほど魅力は感じない。
(もちろん行ってみたいし遊んでみたい。でも、その川の近くに住みたいとは思わない)
川と山と人と野生動物がゆるやかに密接につながっている空間に自分は魅力を感じる。