「他に空き家は無いですかね~」
としつこく顔を出しているうちに
「そうだなぁぁぁ。ところで、お前はいま暇なのか?」
仕事は連休明けからだと伝えると
「ちょっと手伝ってくれないか?」ということになり、その地域の生産組合の稲の種まきの仕事を手伝うことになった。
機械でまかれた種の入った箱をハウス内に並べていくというこの仕事は非常に地味であり過酷な労働だ。
1日何千回とスクワットをしているようなもので、たいていの人間が嫌がるこの仕事。
給料がもらえるかどうかも確認していないけど、もうこの際どうでもよかった。
最後のほうは家だってどうでもよくなっていた。
ただ 「この仕事を最後までやり通すのだ」 という思いだけだった。
1週間びっちりと種を並べ続けた最後の日。
「家、決めてきたぞ」、と。
自分が必死に種を並べていた時に彼は1度はポシャッたあの家の持ち主と直接交渉してくれていたのだ。
そして、ありがたいことに相場よりかなり高いデメン賃ももらった。
「この地域には若い人間が必要なんだ」 と彼は言う。
俺はこの地域は絶対におもしろいことになると信じてる。
地域おこしとか、難しいことはどうでもいい。
精一杯生きる人がひとりでも多くなればいい。
そこに住んでいない人にとっては何の魅力もない地域でもいい。
そこに住んでいる人が幸せになれる地域がいい。
種は蒔かれた。
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